545331 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

武蔵野航海記

武蔵野航海記

多数決

ヨーロッパ式の多数決には制約があります。神の意思に反していることは議決できないという事です。

下記のような事が、日本の高校で実際に起きたそうです。

クラスで何か決め事をしました。そしてそれに違反した場合は、皆の前で裸になるという罰則も決められました。

ある女子生徒はその申し合わせに違反し、その裸刑が実施されそうになりました。

担任の先生はまずいと思い止めさせようとしました。

生徒達は多数決で決めた自分達の結論をひっくり返すのは、民主主義に反しており、先生の横暴だとして雰囲気がおかしくなってしまいました。

先生は、どこが問題なのか説明できませんでした。そして生徒達との議論に負けてしまいました。

その結果、裸刑が実行されたそうです。

日本では、キリスト教のヤハウェの神を持ち出しても誰も納得しません。

だからその担任の先生は、「そんなことは、神や仏が許さない」と言えば良かったのです。

キリスト教では人間は神の所有物ですから、人間が他の人間に勝手なことはできません。神の所有権を侵害することになるからです。

神の所有物である人間の本質的な部分のことを、「基本的人権」と呼んでいます。

これは多数決でも奪えません。

1776年にアメリカは、イギリスからの独立を宣言し戦争になりました。

このときのアメリカの「独立宣言」の序文は下記です。

我らは以下の諸事実を自明なものと見なす。

すべての人間は平等に造られている。

創造主によって、生存、自由そして幸福の追求を含む侵すべからざる権利を与えられている・・・

この独立宣言は、日本でも「民主主義」のお手本になっています。

ヨーロッパ流の民主主義は、キリスト教そのものです。

創造主たる神が個々の人間に与えたものだから、生存・自由・幸福追求の権利を人間は本来持っているというのです。

神が与えたものを奪うことが出来るのは神だけです。人間は奪えないのです。

この独立宣言を起草したのは、ジェファーソンやワシントンといったプロテスタントの指導者でした。

彼らの師匠は、ジョン・ロックという17世紀末のイギリスのプロテスタント思想家でした。

ジョン・ロックはイギリスの「名誉革命」の指導者でした。

当時のイギリス人の多くはプロテスタントだったのに、国王はカトリック教徒でしたので政治的紛争が起こっていました。

このときにジョン・ロックが「神から与えられている人間の権利を侵害している国王は敵だ」と叫んだのです。

その結果カトリックの国王は追い出され、別のプロテスタントが国王になりました。これが名誉革命です。

このプロテスタントの王様はオランダ人で、奥さんが追放されたイギリスの王様の娘でした。

父と娘で宗教が違っていたのですね。

今のイギリスの王室はその子孫ですから、いわば革命政権です。

18世紀の中頃、追放されたカトリック教徒の王様の子孫が、王位を奪い返そうとイギリスに侵入しました。

現王室の先祖は軍隊を率いて迎え撃ちました。

この時現王室を応援する歌が出来ました。これが God save the king で現在のイギリスの国歌です。

この歌は自然発生した歌で、作者が分っていません。

戦争の応援歌ですから内容がかなり過激です。

God Save the King 神よ 王様をお守りください

Long live our noble King 高貴な王様万歳

Send his victorious 神よ 王様を勝たせてください

Scatter our enemies 敵を蹴散らし

Confuse their politics 敵の戦略を混乱させたまえ

May he defend our laws 王様が我々の法を守ることが出来ますように

日本の「君が代」とは、成り立ちも歌詞もかなり違います。

アメリカは戦争までしてイギリスから独立しましたから、本来なら仲が悪いはずです。

しかし、仲がいいのは同じ思想を共有しているからではないでしょうか。

アメリカの独立戦争の刺激を受けて始まったのがフランス革命です。

フランス王妃であるマリーアントアネットの愛人であったフェルゼンは、アメリカ独立軍の将校としてイギリス軍と戦いました。

フランスとイギリスは伝統的に仲が悪かったので、イギリスを困らせることは何でも喜んでやりました。

フランスはアメリカに巨額の財政援助を行いました。このときの借金もフランス革命の一因です。

フェルゼンだけでなく、フランスの貴族が大勢アメリカ独立軍に参加し、ジョン・ロックの思想にかぶれて帰ってきました。

フランスの人権宣言には神は出てきません。

カトリックの神父の上層部を貴族が独占し国王の支持層を形成していたので、宗教は革命の敵だったからです。

しかし革命思想の根本に神がいるので、革命派はその理由付けに苦労しました。

過激派であったロベスピエールは、神の代わりに「最高存在」という物を発明しましたが、なんのことはない神と全く同じです。

この様に、フランスでは宗教と政治を分けようとする考え方が主流です。

現在も、公共の場所に宗教を感じさせるものを持ち込む事を禁止しています。

その為イスラム教の女子高生が、スカーフを被って学校に行ったので退学処分を受けるなどしてもめています。

イスラム教国であるトルコがEUに入りたがっていますが、「宗教が違うからダメ」と言えないで苦労しています。

今度ローマ法王になったベネディクト16世は、早速「宗教の違うトルコがEUに入るのは反対」と言いました。

ヨーロッパ中の総意を代表しての発言だと私は思いました。

このようにヨーロッパの民主主義は、キリスト教そのものです。

別に、キリスト教徒でない日本人がヨーロッパ流の民主主義を採用してはならない、ということはありません。

しかし宗教的背景を持たないので正しく理解されていない、と私には思えます。

アメリカであれば、「基本的人権の侵害だ」と大騒ぎされそうなことを、マスコミ自身が平然と行っているのも、人は神の所有物だという理解がないからだと思います。

人間が人間に付与した権利は「特権」で基本的人権とは異なるものです。

しかし日本人には、「基本的人権」と「特権」の区別が出来ていない様な気がします。

「特権」を特定の人間に与えるか否かは人間が判断できます。

都営のプールを無料で使用する「特権」を都民にだけ与えるのは当然です。他府県の者から入場料を徴収することは差別ではありません。

参政権も特権です。人間の集団である国家が国民に与えたものです。
従って国民でない外国人に与えなくても差別ではありません。

他にも無理があります。例えば刑法202条の自殺幇助は、完全にキリスト教の発想です。

神の所有物である自分を殺すのは、神に対する罪なのです。

日本では自殺が全て悪いという考え方は無いと思います。切腹は自分の名誉を守るための手段で、むしろ称賛すべき行為のはずです。

腹を切って苦しんでいる者を介錯するのは、むしろ立派な行為です。


© Rakuten Group, Inc.